hishaismの打ち込み日記

ド素人がピアノを打ち込んで、「わ~できた~!」とはしゃいでいる日記

Liszt, Thalberg, Pixis, Herz, Czerny, Chopin. "Hexameron"

 リストらによる「ヘクサメロン」を打ち込みました。ヘクサメロンとは「6つの詩」の意味で、創世記における天地創造の「六日」にちなむとのことで、この曲が作られる先年に亡くなったベッリーニの作品からテーマを引用し、それを当時大活躍していた6人のピアニストたち(作曲家でもあった)が変奏するという贅沢な作品です。話題性抜群、夢のコラボに違いありません。その6人とは、フランツ・リスト、ジギスモント・タールベルク、ペーター・ピクシス、アンリ・エルツ、カール・ツェルニーフレデリック・ショパンショパンとリストが好きな人にとっては唯一の共作なわけで、涙が出るほどうれしい作品なのではないかと思います(言い過ぎ?)。

?


Franz Liszt : Hexameron, S.392. (MIDI)

作品についてざっくり

 この作品が作られたのは、ベルジョイオーソ侯爵夫人がチャリティーコンサートの企画として発案したのがきっかけなのですが、実際には作品の完成が間に合わなかったようです。オーケストラをともない、6人それぞれが計6台のピアノをもって変奏を繰り広げる演奏が実現していたら、さぞ壮観だったことでしょう(でも、リスト以外、ショパンなどはリストが作ったフィナーレを弾けるのか……?)。このチャリティーコンサートは、リストとタールベルクによる「ピアノの決闘」が行われたことで知られています。「タールベルクは世界一のピアニスト、リストは世界唯一のピアニスト」という決着は有名です。

 全体の印象からすると、リストはうまくまとめたなぁ、とつくづく思います。バラバラの変奏はツェルニー以外は2度以上現れますし、異質ともいえるショパンの変奏にあわせて間奏を作っています。ショパンの変奏はほかの変奏に比べてあまりにさりげなく、目立たないのですが、そこがしっかり聴かせどころになるように、ショパンに配慮して作ったのだろうなあ、と私は想像します。

やりたかったこと

 この作品で私がやりたかったのは、まずテーマを原曲風にしたい! というところ。圧倒的なマルテラートで序奏が終わると、ついにテーマが現れます。テーマは「清教徒 (I Puritani) 」というオペラの「ラッパを吹き鳴らせ (Suoni la tromba)」という二重唱で、原曲では弦楽器がオクターブでアルペジオを刻み、トランペットがこのメロディを奏してジョルジオが「ラッパを吹き鳴らせ!」と歌い始めます。あの軽やかな弦楽器と勇ましいトランペットをピアノ風にしたらどうなるか。もちろん左手のオクターブのアルペジオを高速で弾くのは難しいことですが、そんなことをものともしないピアニストがいたとしたら、と想像して打ち込んでみました。ひと言でいえば、「このほうがラッパの音も歌声も聞こえると思った、反省はしていない」というところです。ペダルを使わないほうが、カデンツァで長くペダルを踏みこんだときにコントラストも出ますしね。主題最後のスタッカーティシモは、私が想像するリスト像の表れです(怒りを込めて、力任せ笑)

 ほかは、各変奏ですね。やりたい放題やりました。第2変奏でのリストからのパスを無視してぶっ飛ばすピクシス、極端な強弱でbravuraを表現する、キレキレのツェルニー(左手が強すぎる)という妄想設定。そしてショパンの変奏はやはり特別で、ほかの変奏とはまったく違う表現にしています。今にも壊れそうな、細い、けれど芯のある声。この変奏、「ショパンは手抜きだったんじゃないか(笑)」という声もありそうなんですが、やっぱりどこでもショパン節は効かせるんじゃないかと、勝手に想像しています。

 あとは、勝手にノリで変えた部分があります。勢い余ってバスをオクターブ低い音にして迫力を出してしまったり、フィナーレではピクシスの変奏の前の部分は休符なのですが、繋げたくて連打(ピアノが音を減衰させないためにしばしば使う方法)するなど。とはいえ、まあ数か所くらいですか。あとはフィナーレのmfをffで演奏していたり、細かな表現の変更もしています。最後のMolto animatoはsempre ffff, ここは一気呵成に、もう目がくらむような速さで。

 まあ、なんだこりゃという解釈かもしれませんが、いつも通り、自分のやりたいことをやりました。

おわりに

 だいぶ荒削りかなとも思うのですが、勢い任せに打ち込んでやりたいことはやりました。「そうそう、こんな感じにしたかったんだよ!」という満足感でほっこりしているので、ちょっと休んでエネルギーが戻ったらまた次のものを作りたいなあ、と思っています。

 そして、ひそかに今回Youtubeに投稿してみました。著作権上の措置(有名作品を作って投稿すると、しばしば著作権侵害だとして自動ではじかれる)が心配ですが、やはり使えるなら使いたいなあと思っています。